幸野正義

Masayoshi Kouno / こうの まさよし

髑髏(しゃれこうべ)。

1975年、 NUFF、石川直登、原和樹、杉原雄と共にバンドを結成しEP『パーフェクト・ロリータ』でデビュー。ミュージックビデオ(映画監督だった母が自分を産んですぐの時から構想していた)では毎回ゴジラのごとく鮮血色の光線を吐きまくる。本人によると生家は阪急ファイブの裏にあったそうだが、その生い立ちは一切の謎に包まれている。完全独学で作曲家となり、以前から趣味で書いていた詩と創作ダンスの才能を活かして、誰もいないとされていた「歌って踊る純作曲家」という新たな職業を確立した。

その作風は世界的に見ても似たようなものがない創造性と特異さに満ちており、伝統的ジャズとクラシック音楽(もっぱら古典派と印象派、後期ロマン派)を軸に、純邦楽と一番の好みである映画音楽、ムード音楽、キャバレー(19世紀末にフランスで発祥した舞台付きレストラン/ナイトクラブのこと。パリにあるムーラン・ルージュが代表)を融合した極めて独特なスタイルの音楽を、十字架・髑髏・花・悪魔といったカートゥーン的でありながら純粋なるオカルティック・エレガンスとして描いた様式美と共に体現。デビュー当初から多方面の注目を浴び、中でも、70年代後半当時のロック/ソウルやフュージョンに飽きた一部の若い世代、吹奏楽部員の中高生や吹奏楽ファンからは人並み以上の話題と共感と支持を集めた。少年期は歌謡曲をよく聴いていたが、カウント・ベイシーを知って突如ジャズをやろうと決心したらしい。

家族、友人全員が恐怖に慄くほどの映画狂でもある。映画○宝の一億倍濃いといわれる雑誌『映画塊肉』編集長の本山ゲンジは大親友。影響を受けた映画はライザ・ミネリ主演の『キャバレー』や、『紳士は金髪がお好き』『ショウほど素敵な商売はない』などのマリリン・モンロー主演作、オードリー・ヘプバーン主演の『ティファニーで朝食を』『おしゃれ泥棒』、テーマ曲を何度もカバーしまくっている『地下道のメロディ』、『ロシュフォールの恋人たち』、テーマ曲をコンサートでの出囃子にするほど衝撃を受けた『第三の男』、邦画では谷口千吉監督・伊福部昭音楽の『銀嶺の果て』、黒澤明監督『生きる』などの東宝作品(初期ゴジラも)。しかし、何よりも影響を強く受けたのはスタンリー・ブラック楽団と、ヘンリー・マンシーニの映画音楽と、伊福部の純音楽である。特に彼からの直接的影響は同業者だった父が泣き過ぎて倒れるほど。

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